2023 近畿経済産業局 地域一体型オープンファクトリー事例集を発行
2023/03/13
全国初!国内の地域一体型オープンファクトリーを取りまとめた事例集を公表
近畿経済産業局
この度近畿経済産業局では、全国各地で広がりを見せる地域一体型オープンファクトリーについて、39事例を因数分解し、どのようなキーパーソンたちが躍動し、どのようなイノベーションが生まれているのかを「OPEN
FACTORY REPORT 1.0 (PDF形式:116MB)」としてとりまとめました。
「OPEN
FACTORY REPORT 1.0」は、全国のオープンファクトリーの取組を一覧できる全国初の資料です。
各地の取組の特色やエッセンスに触れ、その魅力を存分に感じていただくとともに、オープンファクトリーを通じた全国での更なるオープンイノベーションの進展に期待します。
https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/openfactory/R4fybooklet.html
オープンファクトリーとは
オープンファクトリーとは、つくり手が活動し、モノをつくりだしていく現場を公開し、来場者(お客様)に体験してもらう取り組みです。普段はお客様を招き入れることのない仕事現場を公開し、交流をおこなうことで、自社製品や仕事に対する生の声や新たな気づきを得ることができます。
来場者にとっても、普段は見ることのできないモノづくりの現場は、魅力あるエンターテインメントであり、モノづくりの価値を知ることができます。参加企業と来場者の良好な関係は、より良い地域コミュニティづくりにも貢献します。
オープンファクトリーのタイプ
オープンファクトリーを大きく分類するとフリー見学型とツアー訪問型、およびその組合せ型となります。移動しやすく、各現場での受入れ体制が整っていればフリー見学型、場所が離れていたり長時間の受入れが難しい場合はツアー訪問型がベースになります。
フリー見学型
期間中、工場を一定の時間オープンさせ、来場者が自分のペースで自由に見学できるオープンファクトリーです。
徒歩圏内を中心に、地域に点在する工場やショップなどを歩いたり、自転車に乗って回遊する地域もあれば、広範囲なため公共交通機関や自家用車での移動が必要な地域もあります。イベント期間中に臨時バスを運行するなど、来場者がアクセスしやすい工夫なども必要です。
どの工場がいつオープンしているのかといったタイムスケジュール、工場の場所がどこかといったアクセスマップの制作が重要になります。
来場者に実際に製作体験してもらうワークショップなどを企画する場合もあります。
ツアー訪問型
主催者側でテーマに沿ったコースを決め、見学者を事前に募集し、ガイドの案内に従って実施するオープンファクトリーです。
徒歩で回れる場合は、工場のことだけでなく、地域の歴史や名物を知ってもらう街歩き的な要素も追加されます。拠点間の距離がある、公共交通機関が使いにくい、地域外からの来場者で地理に不案内で自動車が使いにくい等の場合には、バスを使ったツアーも実施されます。広く一般から参加者を募集する場合もあれば、プロフェッショナル限定、学生限定など、対象者を絞ってより確実なビジネスマッチングを狙う場合もあります。
オープンファクトリーの3つのメリット
参加企業、来場者、地域にとってそれぞれメリットのあるのがオープンファクトリーです。
自社が主役のファンづくりがビジネスに
オープンファクトリーが目指しているのは、仕事現場の公開や、来場者との交流を通じて、自社のファンを増やしていくことです。
BtoBの仕事が中心で、一般の方に公開する必要が無いと言われることがありますが、積極的に情報発信し、お客様を受けいれている企業には、その姿勢を評価する新しいクライアントとの取引が生まれることがあります。
公開することで新たなファンや、価格だけでは判断しない取引先が増えてくるのです。
普段は認められていない自社の価値が評価される喜び
普段、下請の賃加工をしていると、納期・価格・品質の厳しい条件をつきつけられて、それを何とかクリアしようと、取引先にはわからない努力を積み重ねます。
自分も取引先も、それが当然と考えるので、その技術や仕事の価値を認識していなことがあります。取り引き先以外の人が工場の現場や見学すると、高い技術やノウハウに驚き、感激することがあります。
生の声によって自社の価値にあらためて気づき、喜びや充足感を得ることができます。
製造卸、製造小売りなどへの業態転換、多角化のきっかけ作り
お客様に直接自社をプレゼンし、商品を販売する機会を得ることで、加工だけの事業から、自社がリスクを持って商品を開発し販売する、製造卸や製造小売に取組むきっかけになります。すでに自社でオリジナルブランド開発を目指しているならば、実際にお客様の反応を見聞きすることができるよい機会となります。
見せる、伝えることを真剣に考え、社員教育にも役立つ
とくに中間工程や、下請け仕事が多いと、受注に頼りがちになり「待ち」の姿勢になります。自社の実力や仕事内容を伝えることはあまりないでしょう。しかし、オープンファクトリーでは、技術や仕事内容を知らない一般見学者も訪れるので、「素人にでもわかるように仕事を伝える」ことに取り組むことになります。
社員がわかりやすく仕事の価値を伝える練習をすることは、会社への意識が高まる教育効果が期待できたり、見学できるように社内を整理整頓するきっかけになる場合もあります。さらに仕事に関心を持った若者が工場に就職する事例も生まれています。
子供たちや後継者にモノづくりや地域の魅力を伝える
モノづくり地域に住んでいた人なら、子供の頃に、近所の町工場に遊びに行ったり、覗き見した記憶があるかもしれません。
子供の頃からモノづくりの現場を体験し、大人が真摯に仕事に取組む姿を見せることで、子供たちの関心も高まります。
さらにオープンファクトリーの機会に直接交流したり、そこで作られている製品が高く評価されていることを知ることで、関心が憧れに育つのではないでしょうか。
「モノづくりする姿のカッコよさ」を子供たちに見せること、そして自分たちの後継者に伝えること、それもオープンファクトリーなら可能です。
モノづくりへの理解
オープンファクトリーの機会に普段は入りにくいモノづくりの仕事の現場を見学し、モノづくりについて話を聞き、ときには自分でも体験することで、楽しみながら「モノづくりや現場の価値」を理解するようになります。
その地域で作られたモノに、地域の歴史や背景や、現場見学での体験や、作り手の想いなど、モノづくりのストーリが加わります。「こんなに手間をかけているのか」「すごいコダワリだ」「さすが!」という現場での感激や知識が、「モノづくりの魅力」や「そこで創られたものを選ぶ理由」を与えてくれるのです。
新しい観光・エンターテイメントとして
モノづくりの現場を体験することは、知的好奇心を刺激してくれる新たな観光、エンターテイメントとなる可能性を持っています。現場で作り手の仕事ぶりを見て、会話を交わすのは、まるで舞台を見るような楽しみです。
実際にワークショップなどに参加し、自分の手を動かしてモノづくりをするのも貴重な体験となります。またオープンファクトリーの機会では、同じ関心を持つ人達との出会いも得られます。
地域全体の結びつきを強める
オープンファクトリーでは、参加企業や工場がそれぞれ主役となり、まず「自社の魅力を伝える」ための工夫を凝らし発信力を高めていきます。
それをきっかけに近隣や参加企業同士の交流が生まれ、お互いが連携して活動するようになります。この連携により、さらに参加者同士の結びつきが強くなります。
最初は「自社」を良く見せようという意識だったものが、近隣の参加企業と一緒に活動し、さらに地域の住民も含めた「地域全体」で盛り上がってくることで、地域内での結びつきが強くなります。
地域に関心を持つファンを増やす
オープンファクトリーに訪れた人は、工場だけではなく、現場の人との交流や、周囲の店舗、観光、食べ物、街の歴史など様々な資源に触れることで、地域のファンになってくれます。同じような商品なら、どこで作られたのかわからないモノより、自分が見学した地域の商品を選びたくなります。
また見学者が積極的に再来訪したり、口コミで魅力を伝えるなどファンになってくれたり、地域の住民がモノづくり地域の理解者になってくれることも期待できます。
立場や業種や職種、年齢を超えた地域のコミュニティ創出
オープンファクトリーでは、業種を越えて商店や飲食店等と連携することもあります。運営の場では、年配の社長から、若いクリエイターまでが、会社の枠を越えて一緒に活動することもしばしばあります。
普段は出会えない人、関わらない人との交流ができ、地域に新しいコミュニティが生まれてくることもオープンファクトリーのメリットです。